MODづくり実践③~ボートネックTシャツ その3~



さて、その2でコイカツ!へ衣装の追加(MOD化)はできたものの、実際に使うにはいくつかの問題が見つかりました。
そのために、その3ではそれらを解決していきましょう。

・ボディマスクが「Tシャツ(無地)」のままで、肩まわりが不自然に消えている

この問題は、変更前の衣装よりも変更後の肌の露出が増えて、ボディ/ブラマスクが不適切になってしまったために起きています。
そのため、解決策としては

1.別の(既存の)ボディ/ブラマスクを使う
2.ボディ/ブラマスクを新しくつくる

の2つの方法がありますが、まずは既存のボディ/ブラマスクを使う方法を試してみます。

既存のボディ/ブラマスクを使う場合、具体的な作業としてまず変更後の衣装にあてはまりがよさそうなボディ/ブラマスクを探します。
具体的にはSB3Utilityでテクスチャを直接見てもいいですし、Koikatsu Overlay Modsを導入しているなら、ゲームのキャラメイク画面でHide base textureをチェックしてマスクの形を見るのもひとつの方法です。

そして当てはまりがよさそうなボディ/ブラマスクを見つけたら、あとはリストファイルを更新(変更)するだけです。

今回の場合フリルワンピースのマスクがあてはまりがよさそうだったので、フリルワンピースに使われているボディ/ブラマスクを使うようにリストファイルを変更しました。

リストファイルを変更した後には、忘れずにApplyしてからSaveしましょう。

・服の色が真っ白で、選択した色の設定が反映されていない

この問題は衣装MODの作成中によく見るものですが、xneの経験上いくつかの原因で起こることがあります。
たとえば、

◇リストファイルで指定するMainTexやColorMaskTexのアドレスやデータ名が違う
◇MonoBehavior[ChaClothesComponent]の設定がおかしい
◇メッシュにマテリアルの指定がされていない

などです。
共通しているのは、メッシュにマテリアルやテクスチャを適用するところで何らかの問題が生じているというところなので、この問題が起こったときには上に挙げたような設定に目星をつけてチェックするとよいと思います。

今回の場合、リストファイルの指定とマテリアルの設定は問題ありませんでしたが、Mono-Behavior[ChaClothesComponent]の設定に問題がありました。

上の画像のとおり、rendNormal01 vectorの項目で本来あるはずのメッシュの指定が外れていたのです。

これを修正するためには、赤枠で囲った部分に指定するメッシュのSkinnedMeshRendererのPathIDを打ちこみます。
PathIDを調べるには、「Mesh→Goto Frame」を使って指定したいメッシュのObject Tree上の場所へ飛んだあとに直下のSkinnedMeshRendererをクリックしてからCtrl+Pを押します。
するとLogの欄にPathIDが表示されるので、その数値を入力してください。

実際の入力後が上のような状態で、MonoBehaviorの設定を変更したところは緑色がついて表示されます。
なお今回は、「・そもそもTシャツは2色選択のはずなのに、1色しか選択できない」という問題もあわせて解決するためuseColorN02の設定も変更しているので、そこも緑色がついています(useColorN01~03は色01~03の使用可/不可に対応しています)。

変更したあとはSaveを選ぶことで変更が保存されるので、これで他のところがおかしくなければ問題は解決するはずです。



と、いうわけで上の2点を変更して更新したところであらためてコイカツ!を起動してゲーム内でどのようになっているか見てみます。

すると不適切なボディ/ブラマスクで消えていた部分がなくなり、また服も選んだ色が反映されるようになっていることがわかります(ついでに2色選択もできるようになっています)。
これで完成!と言いたいところですが、しかし角度を変えるとイヤなことに気づきます。

今度はボディ/ブラマスクがちいさすぎて脇が貫通してる……
それに広げた襟周りも、このままではいかにも「切り抜きました!」といった感じなので袖や裾のように色2をつけたいところですし、その2で挙げた「首まわりの胸中央部が不自然に△の形に尖っている」問題も実のところ解決していません。

ともあれ、ここからはどこまで完成度をあげていくのか、という作業になります。

xneはここからさらに

・専用のボディ/ブラマスクを含んだマスクファイルを新しくつくる
・メッシュを調整して更新(変更)する
・ColorMaskTexと_mdテクスチャを調整して更新(変更)する

ことにしましたが、これらの作業に必要な手順でまだ説明していないのは「テクスチャの更新(変更)の仕方」だけですので、それについてだけ詳しく説明します。
(マスクファイルの作り方はサムネファイルの作り方とほぼ同じのため省略します!)


⑥既存のテクスチャを出力、加工して戻す

まず既存のテクスチャを出力するためには、加工したいテクスチャを含むファイルをSB3Utilityで開いて、下の画像のように選択したあとExportボタンを押します。

すると選んだテクスチャが「~.dds」という形式で出力されるので、これをdds形式の画像ファイルをいじれるソフト(xneはdds形式を扱うためのプラグインを入れたphotoshopを使っています)で望む形に加工し、「~.dds」という形式で保存します。

そして加工したテクスチャを本体ファイルに戻すには、まず変更される予定のテクスチャを出力のときと同じように選びます。
それからメッシュのときと同じように画面左上のQuick Accessタブに加工した.ddsファイルをドラッグ&ドロップし、左下のタブに出てきた加工後のテクスチャを選択したあとにReplaceを押したら完了です。


はい、これで衣装MODづくりに最低限必要な作業について、だいたい説明が終わりました。

文字にするとけっこう長くなってしまいましたが、実際にやってみるとこれらの作業はそれほどたいへんではなくて、むしろコイカツ!外のソフトでのメッシュいじりやテクスチャいじりがメインの作業になってきます。

ですからみなさんもコイカツ!でつくってみたい衣装やアクセサリーがあったら、かんたんなものからぜひ挑戦してみてください!
一回できるようになったら自分のつくりたい衣装が(手間と時間をかければ)だいたいできるようになります。
そしてみんながそれぞれ自分のつくりたい衣装をつくることで、結果としてコイカツ!界隈がより豊かになればxneはとても嬉しいです。





[おまけ①.UVマップを出力する]
テクスチャの更新(変更)方法は⑥で説明したとおりですが、そもそもテクスチャを加工するときにはテクスチャのどの部分がメッシュのどこにあたるかを把握しながら加工をするほうが効率的です。
そのテクスチャのどの部分がメッシュのどこにあたるかの対応図……これをUVマップと言いますが、これについても実はSB3Utilityで出力できますので、その方法について説明します。

UVマップを出力するには、まず最初にMeshタブでUVマップを出力したいメッシュを選択します。

それからTextureタブを開いて適当なテクスチャを選んでから右側のTextureタブ内の「UVs of ~」の0ボタンを押し、Exportボタンを押します(下の画像の①~③の順)。


すると「UVs of ~.png」という形式で透過pngが出力されるので、あとはそれを必要に応じて使いながら加工していきましょう。

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